(5)重度の後遺障害が発生してしまった場合や死亡事故の場合


被害に遭われた方が重度の後遺障害が残ってしまったという場合、あるいは不幸にして亡くなられた場合においては、過失割合などの検討だけでなく、逸失利益や種々の保険(加害者の任意保険や人身傷害保険、自賠責保険、労災保険など)の関係など、極めて専門的・技術的な要素についての検討が必要となります。


 

  •  重度の後遺障害が残った場合

症状固定の後、後遺障害が残ってしまった場合は、「自賠責後遺障害等級認定」を受けることになります。ここで、ご自身の後遺障害等級が決定したら、これをもとに加害者側の保険会社と慰謝料などの損害賠償金額について示談交渉していくことになります。なお、認定された後遺障害等級に不満がある場合は、「異議申立」をすることができます。
 
加えて、治療終了後も発生するであろう継続的な損害の算定・評価なども必要となります。
特に、高次脳機能障害、脳脊髄液減少症や反射性交感神経性ジストロフィーなど、近年、後遺障害の原因となる新たな傷病への注目が高まってきており、これらについては、交通事故や民事訴訟手続に対する知識のみならず、傷病の発生原因や病理、主要症状、治療法などに関する一定程度の医学的知識が不可欠となります。

具体的な後遺障害認定手続きの流れとしては、以下のようになります。

1.後遺障害診断書の作成
医師に症状固定(これ以上の治療が意味をなさなくなった状態)と診断された後、後遺障害診断書を作成してもらいます。

2.自賠責保険会社に認定請求
自賠責保険会社に対して後遺障害等級の認定請求を行います。 「事前認定」の場合には、相手方任意保険会社が診断書等の資料を収集したうえ、認定請求を行います。「被害者請求」の場合には、被害者自身が資料収集と認定請求を行います。

3.認定機関に依頼
自賠責保険会社が損害保険料率算出機構に対して後遺障害等級の調査を依頼をします。

4.調査結果の報告
損害保険料率算出機構から自賠責保険会社に対して調査結果の報告がなされます。

5.後遺障害の等級認定
損害保険料率算出機構から自賠責保険会社に対して調査結果の報告がなされます。 認定された後遺障害等級に不満がある場合は、「異議申立」をすることができます。
  •  被害者が死亡した場合


被害者が亡くなられた場合、 通常は四十九日が過ぎてから、遺族と加害者側の保険会社との間で示談交渉が進められていきます。その際に気をつけなければいけないことのひとつに加害者の「刑事事件」があります。
加害者は刑事事件として立件され、処罰の対象となり、裁判が行われる可能性があるわけですが、刑が確定される前に損害賠償金の示談をしてしまうと、加害者の量刑が軽くなってしまう場合があるのです。
示談交渉の流れについては、被害者がケガをした場合と概ね同じですが、損害賠償項目に違いがあったり、交通事故の状況を知っている被害者が亡くなっているために交渉において証言できないといった難しさもあります。
交渉や裁判の際は、法律のプロである弁護士へ相談することをおすすめします。 

 



私たちは、被害者の立場からの交通事故案件の処理に携わり、その中で蓄積されてきた豊富な業務処理経験があるほか、日々生み出される最新の裁判例の分析や研鑽を重ねており、ご依頼のあった交通事故問題について常に十分に対応できる体勢を整えております。

また、交通事故案件では、事故発生の態様や被害者の生活状況、受傷や後遺障害の内容など、一つとして同じ案件は存在しないため、それぞれ個別の案件ごとにきめ細やかな分析・評価が必要となります
そのため私たちは、皆様の希望や想いを十分にお聞きした上で、知識と経験を元に、弁護士としての立場から適切なアドバイスを行い、示談や訴訟の進め方などの事件処理方針について、十分な協議をした上で手続きを進めていきたいと考えております。



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気を付けたいこと 
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