(3) お金の問題について

 離婚に関してのお金の問題は、お子さんの有無、離婚の原因、お二人の年齢などによって変わりますが、主な内容としては以下の5項目になります。

養育費(前ページ 子供の問題 参照

*財産分与

*慰謝料

*年金分割

*婚姻費用

ここでは、養育費を除く4項目について説明したいと思います。

 

財産分与とは…法律では、夫婦の共同生活の中で築いた財産については、原則として夫婦が平等に分けるべきとされています。したがって、財産の名義がどちらかになっている場合、もう一方は財産を平等に分配することを請求できます。

 

 財産分与は、2分の1ずつ分けるのが原則です。

 分与の対象となる財産を「共有財産」といいますが、これは、婚姻中に夫婦の協力によって形成・蓄積された財産をいいます。婚姻前から各自の所有であった財産、婚姻後であっても、相続や遺贈で得た財産は、「特有財産」といって共有財産には含まれず、財産分与の対象とはなりません。

 不動産については、オーバーローン(自宅を売却しても住宅ローンが残る担保不足の状態)になるかどうかをチェックしましょう。そのためには、不動産の現在価値を知る必要がありますので、最寄りの不動産会社で無料で査定をしてもらいましょう。

 その他の財産について、預貯金、生命保険の解約返戻金などは分かりやすいかもしれませんが、退職間近になっていれば退職金についても検討する必要があります。

住宅ローンが住宅の価値より大きい場合

 この場合、裁判所では通常、不動産には価値がないとされます。そして、無価値の不動産を分けることはできないので、住宅は財産分与の対象から除外されることが多いです。

住宅ローンはだれが払う?

 離婚をしても、金融機関(銀行や住宅ローン会社)にとっては、一切関係がありません。つまり、住宅ローンの連帯債務者や連帯保証人になっている場合離婚をして住宅から出て行っても、住宅ローンの支払い義務(又は保証債務)は一切なくなりません。どうしても、住宅ローンの連帯債務者や連帯保証人から外れたい場合は、金融機関に相談してみるしかありません。

財産分与を請求できる期間

 離婚後2年以内です。2年を経過すると財産分与を請求できなくなりますので、要注意です。

退職金は財産分与の対象になる?

 すでに退職している場合は、支払い済みの退職金は、預貯金と同様に共有財産として財産分与の対象となります。一方で、まだ退職していない場合にも財産分与の対象になる場合があります。ただし、将来、退職金の支給が見込まれる場合でなければなりません。

 

 

  •  慰謝料について

 

慰謝料とは…相手方の不法行為によって受けた心の苦痛を和らげ回復するために支払われる金銭のことです。相手方の不法行為の代表例は、いわゆる浮気や不倫です。

 

 婚姻関係にある一方に不貞行為があった場合、他方は大いに傷つきます。しかし、その慰謝料は、実際の裁判においては、思っている以上に低額です。しかも、相手方の不貞行為を立証しなければなりません。 したがって、慰謝料ばかりに気を取られてしまうことは得策ではなく、全体を見据えながらできるだけ冷静に考えてみましょう。

 浮気(不貞行為)があるときでも、

*不貞行為の責任が双方にある

*事実上、夫婦関係が破綻してからの不貞行為

*夫婦双方が浮気をしていた

 等の場合は慰謝料の請求は難しくなります。

 なお、浮気(不貞行為)による離婚・慰謝料請求をする場合には、証拠の有無が結果にもたらす要因が大きくなります。浮気を示すメールや日記、ホテルや各種レシート、クレジットカードの明細書などを集めておくことが大切です。

浮気相手にも慰謝料を請求できる?

 浮気相手にも、精神的苦痛を与えられ、家庭を壊されたのですから、慰謝料の請求ができる可能性はあります。離婚をしないで、浮気相手にだけ慰謝料を請求することも可能ですが、慰謝料の金額はかなり減額されます。その場合にも、証拠となる資料を多く集めておくことが重要です。

慰謝料を請求できる期間

 慰謝料は、離婚成立から3年までしか請求ができません。離婚成立の段階で、他のお金の話と一緒にきっちり解決できればよいですが、その際のいろいろな状況によっては後回しになることもあると思います。3年という時効があることを頭に入れておきましょう。

 

  •  年金分割について

 

年金分割とは…婚姻期間中の厚生年金(あるいは共済年金)の夫婦の保険料納付記録(払込保険料の総額のことです)を当事者間で分割する制度です。将来、夫の受け取る返金額の半分を妻が受け取ることができるようになる制度ではありません。

 

 したがって、夫の年金額が半額になるわけではなく、また、夫婦双方が国民年金の場合には、年金分割は問題となりません。

 平成20年4月以降は、自動的に夫婦の保険料納付記録は2分の1ずつに分割されますが、平成20年3月までの分については合意で分割する必要があります。しかし、合意が成立しない場合であっても、離婚当事者の一方が年金分割の審判を申立てた場合、裁判所は、多くの場合2分の1の割合で按分を決定しますので、年金分割を争う実益は殆ど無いといえるでしょう。

 

年金分割が請求出来る期間

 離婚したからといって、自動的に分割されるわけではなく、年金事務所等への手続きが必要です。請求できる期限は、離婚が成立から2年間です。この期間を過ぎると、原則として分割の請求はできませんのでご注意ください。

いつから分割した年金はもらえる?

 離婚すればすぐ分割した年金をもらえるわけではなく、受給年齢になってから支給されます。受給開始前に、厚生年金加入者の元夫(妻)が亡くなっても、元妻(夫)の生存中は支給されます。

いったい年金分割でいくらもらえる?

 日本年金機構では、50歳以上の人に対して、年金分割でいくら年金がもらえるか、見込み額を教えてくれるようになりました。見込み額を知りたい場合は、「年金分割のための情報提供通知書」を最寄りの年金事務所へ請求してみましょう。

 

  •  婚姻費用について

 

婚姻費用とは…“夫婦と未成熟の子との家庭的共同生活を維持していくのに必要な費用”とされています。つまり衣食住費をはじめ、水道光熱費、医療費、養育費など、婚姻中の夫婦と子どもにかかる費用全てと言えます。

 

 別居している夫婦間であっても、夫の方に主な収入がある場合には、夫は妻に対して、離婚が成立するまでの間、婚姻費用を渡さなければなりません。同居しながら離婚する夫婦はほとんどいませんので、多くの場合には、別居が先行しているケースが多いといえます。

 つまり、多くの夫婦は別居しながら離婚協議や調停、さらには裁判を続けているのです。となると、婚姻費用は、とりわけそれまで専業主婦であった場合には、別居期間中の生活費としては、とても重要なものになります。また、この費用は婚姻中の義務に基づくものですから、「離婚までの間の生活費」であって、離婚後に請求するものではありませんので注意が必要です。

 

金額はどうやって決める?

 婚姻費用の額については、夫婦間の協議で決めれば良いのですが、養育費と同様に「婚姻費用算定表」が存在しますので、これに基づいて金額が定められるケースが多いといえます。 ちなみに、養育費の額に比べて、婚姻費用の方が額が高くなっていますが、これは、婚姻費用が子どもだけではなく、配偶者の生活費も含んでいるためです。

金額が決まらない時は?

 金額が決まらず、相手が支払ってくれない場合には、家庭裁判所に「婚姻費用分担」の調停を申し立てすることになります。

 多くの場合、別居中のご夫婦の間で離婚の話し合いや調停が始まった時点で、財産分与や慰謝料の話をする前に、「婚姻費用」の金額を決めることになります。

 調停で話し合いがつかなければ、裁判官が様々な状況を判断したうえで、審判として決定します。

 離婚をしたい意志があり、別居して離婚成立までの期間が長引きそうだと思ったら、予め算定表に基づいた金額を確認したうえで、弁護士に依頼して交渉するなど、少しでも早く解決されることをおすすめします。

どのくらいの期間支払ってもらえる?

 別居を開始した日から、離婚成立か別居解消の日までが、婚姻費用の請求が可能な期間です。

  ただし、婚姻費用分担の請求をした時点からの運用が一般的です。さかのぼって請求することは難しいのが現状です。収入が少なく、別居した側が費用の面では不利になりますので、できるだけ早く婚姻費用については話し合うことが大切です。