(2)相続発生後のご相談

 

 相続が発生した後は、遺言があるかないかで、その後の手続きが変わってきます。 また、相続が発生している場合には、相続をするか、相続放棄をするかについて、 相続が発生してから3ヶ月以内に決めなくてはならないことに注意が必要です。

 

1 遺言がない場合

 

 遺言がない場合には、相続人で遺産分割をすることとなります。
また、遺言がある場合であっても、相続人全員の同意があれば遺産分割をすることが可能となります。

 また、遺言がない場合、遺産としてどのような財産があるかを知ることは、被相続人と生前に同居していなかった場合など、わからないことが多くあります。このような際には、弁護士に依頼することにより、銀行や役所に照会をかけるなどの方法で、遺産となる財産があるかどうかを詳しく調べることができます。

 同様に、負債やマイナスの財産がないかどうかも調査することができます。

 

2 遺言がある場合

 

 

 この場合、遺産分割がなされることは基本的にありませんので
遺留分が侵害されていないかどうかを検討することとなります。
 遺留分の侵害がない場合には、他の相続人全員の同意のうえで
遺産分割を行わない限り、取得する遺産を変更することはできません。

 

 

 この場合、「指定されている相続分」が遺留分を侵害しているかどうかを検討します。
指定されている相続分が遺留分を侵害していない場合には、指定された相続分に従って遺産分割を行うことになります。もし、「指定されている相続分」が遺留分を侵害されている場合には、遺留分減殺請求を行うことになります。
 



3 遺産分割の注意点

 

  • 相続人の範囲を確定させる

 

 遺産分割を行うに当たっては、誰が遺産分割に関係するのかをしっかり把握して確定させる必要があります。ここでは、相続関係図を作成することが有効です。

 ここで、戸籍を確認していくと、誰も知らなかった相続人がいたりすることは良くあることですので注意して下さい。

  • ※こんな時には弁護士に相談を。。。

  • ・被相続人に複数の結婚歴がある
    ・被相続人が養子縁組をしていた
    ・被相続人がかなり以前に亡くなっている
    ・ご自身で相続人調査をするのが面倒
    ・相続人調査の時間を節約したい



  • 遺産の範囲を確定させる


 誰が相続人となるかが分かった後は、どの財産を分ける必要があるのかを確定させる必要があります。
 遺産に含まれる財産は、被相続人が死亡した時点で所有していて、遺産分割の時にも存在する財産です。遺産分割のときに消滅してしまった財産は遺産分割の対象とはなりません。
 また、相続人が負っていた借金などマイナスの財産は、遺産分割の対象となる遺産には含まれませんので、注意して下さい。ただし、借金などの負債について、相続人の一部が支払うということを相続人間で決めることはできます。

  • ※こんな時には弁護士に相談を。。。

  • ・被相続人と生前同居していなかったので遺産の内容が分からない
    ・遺産の内容はある程度分かっているが、他に遺産がないか確認したい



  • 遺産を評価する

 

 遺産のうち、現金や預金は金額がはっきりしているので、評価の問題は生じませんが、土地や建物などの不動産は、その価値を巡って争いが起きることがあります。
 不動産の評価方法には、固定資産税評価額、路線価、相続税申告書記載額などがありますが、相続人全員で、遺産の評価額について共通認識としておくことが是非とも必要になります。
 相続人の間で不動産の評価が合意に至らない場合には、鑑定を行うことになりますが、鑑定には相当な費用がかかりますし、解決までに長期化することになってしまいますから、どうしても鑑定しなければならないかどうかは慎重に判断しなければなりません。


  • 各相続人の取得額を決める

 

 遺産の範囲が確定し、遺産の評価が決まった後は、それぞれの相続人の法定相続分に応じて、個々の相続人の具体的な相続分が決まります。
 もし、相続人の一部に、被相続人の生前に多額の贈与を受けていたとか(特別受益)、相続人が遺産を増加させる特別な努力をしていた(寄与分)などの事情がある場合には,これらの事情を考慮しなければなりません。

 

 

 特別受益とは・・・相続人が複数いる場合に、一部の相続人が、被相続人からの遺贈や贈与によって特別に受けた利益のことです。
特別受益があった場合は、他の相続人との不公平を是正するために、一部の相続人が受けた贈与を特別受益として相続財産に含めて遺産を分配します。(特別受益の持ち戻し)。

 特別受益の持ち戻し・・・特別受益分(生前贈与分)も「相続財産」だったと仮定して、相続財産に特別受益を加えた合計額から各相続人の相続分を計算します。そして特別受益者の相続分は、特別受益分をマイナスして計算します。
 持戻しの期間には制限がありませんでしたが、法改正により相続開始前10年以内のものに限定されることになりました。
 法定相続分に従って遺産を分配する場合、特別受益者の相続分が、特別受益額を超えている場合のみ差額分の相続を受けられます。ただし、特別受益を考慮せずに遺産を分配しても、特別受益者以外の共同相続人が納得すれば、遺産分割は成立します。

みなし相続財産額

相続開始時の相続財産価額 + 特別受益額

特別受益者の相続分

みなし相続財産額 × 相続割合 - 特別受益

特別受益者以外の相続分

みなし相続財産額 × 相続割合

 

 


寄与分とは・・・相続人が被相続人の財産の維持・増加に特別な貢献をした場合に、相続財産から寄与した額を控除して、残った分を遺産分割の対象とするものです。寄与分の主張がなされることは非常に多いですが、寄与分が認められる典型的な例は、被相続人のために医療費や施設入所費を支出していたとか、継続的に生活費を渡していた場合などであり、単に介護していただけでは寄与分の主張が認められることはほとんどありません。また、相続人の妻が、相続人の親を介護していたので寄与分を認めて欲しいという方も多くいらっしゃいますが、寄与分は相続人にのみ認められるものであることに注意が必要です。

 ただし、法改正により被相続人に対して無償で療養看護、その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持または増加について、特別の寄与をした被相続人の親族は、相続の開始後、相続人に対して特別寄与料の請求ができることになりました。


 

 いずれにしても、特別受益や寄与分の主張は、とても複雑なものになりますので、弁護士のアドバイスが非常に役に立つと思います。


  •  ※相続人の間で、遺産分割の意見がまとまらない時は・・・?

  •  誰が相続人であるのか、遺産に含まれる財産の内容がわかれば、次はどの相続人がどの財産を相続するのか?ということを協議することになります。これを「遺産分割協議」と言います。これは、相続人の間だけで行うこともできますが、お互いが疎遠で協議しにくい場合や協議自体がまとまらない場合も出てきます。

  •  その際には、弁護士が入ることで協議内容に問題がないかどうかをチェックしたり、寄与分や特別受益の問題等があるなど法律的な専門知識を基にして、遺産分割協議書を作成するということができます。

  •  もし、「遺産分割協議」がまとまらない場合は、家庭裁判所に対して遺産分割の調停を申し立てることができます。調停でも合意ができない際には、家庭裁判所が遺産分割の審判をします。これは、裁判所が遺産分割の方法を決めるということになります。

 

 

  • 遺産分割の方法

 

 特別な事情も考慮して、相続人全ての具体的な相続分が決まったら、遺産をどのように分けるかを決めていきます。
 分け方としては、現物分割、代償分割、換価(かんか)分割の3つの方法があります。


    現物分割
内容 相続財産ひとつひとつをそのままの状態で各相続人に分配する方法
メリット ・手続きが簡単  ・遺産をそのまま残せる
デメリット ・遺産を公平に分けるのが難しい

    代償分割
内容 ある相続人が遺産を多く取得する代わりに、別の相続人にもらいすぎた分を代償金として支払う方法
メリット ・遺産を細分化せずそのまま残せる
・遺産をもらわない相続人にも公平性がある
デメリット ・代償金を払う相続人に現金がなければできない
・相続税が発生する
  •  
    換価(かんか)分割
内容 相続財産を売却し、その代金を各相続人に分配する方法
メリット ・遺産を公平に分割できる
デメリット ・売却に手間と時間がかかる
・譲渡所得税等の税金がかかる場合がある

 

 

4 遺留分侵害額請求とは

 

  •  まず、遺留分とは?

  •  兄弟姉妹を除く相続人、具体的には、配偶者・子・孫・親に対して、遺産の一定割合を保証する制度です。例えば、法定相続人が被相続人(亡くなった方)の配偶者とその子供の場合、遺留分は法定相続分の2分の1ずつとなります。

 

  • 各相続人に認められる遺留分の割合

 

 各相続人に認められる遺留分の割合は、総体的な遺留分割合に個々の相続人の法定相続割合をかけることで算出できます。
 総体的な遺留分割合は、
(ア)直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1
(イ)上記以外の場合         被相続人の財産の2分の1

 

 

  •  遺留分侵害額請求とは・・・

               令和元年(2019年)6月30日までは「遺留分減殺請求」という名前でした。
  •  遺留分侵害額請求は、遺留分を侵害している侵害者に対する意思表示によって行われます。必ずしも裁判で行う必要はありませんが、後に紛争となることを防止すべく内容証明郵便などで意思表示したことが証拠として残るようにしておくことをお勧めします。
     遺留分侵害額請求には、相続の開始または遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知ったときから1年という期間制限がありますので、ご注意下さい。


   例えばこんな事例

  相談者は長男。亡き父に2000万円の遺産があり、遺言があった。
  内容は、母と次男にすべて遺産を相続させるというものであった。
  この場合、長男が受け取るべき法定相続分(500万円)の2分の1
  (250万円)について遺留分が侵害されているため、遺留分侵害額
  請求権を行使したうえで、他の相続人との交渉や遺留分侵害額調停
  を行います。

   



相続に関して弁護士に依頼するメリット
1 ・ 相続問題に関しての不安がなくなる
  相続問題に関して、内容がとても複雑で分かりにくい制度がたくさんあるのが現状です。そんな場合にご自身の状況や立場、また相手方との関係性などを丁寧に細かく聞き取りし、最善の方法をご提案できるのが弁護士です。不安を感じながら日々の生活を送るよりも、弁護士に相談しながら不安を解消し、ひとつづつ前に進みましょう。
2 ・ 相手方と直接話す必要がなくなる  
  相続問題が起こった場合に、相手となる方がまったく面識のない方であったり、逆に近しい親族であった場合など、ご自分の気持ちをうまく整理して感情的にならずに話し合いをすることはとても容易なことではありません。そのような場合には、弁護士に相談することで状況がより整理されて、話しづらい相手方ともスムーズに話し合いを進めることが可能です。
3 ・ 法的手続きによる問題解決ができる
  相続問題の解決が双方の話し合いだけでは難しくなった場合、次に考えられる方法は法的な解決方法です。その際には、家庭裁判所への調停や審判、または裁判所への裁判といった手続きをしなければなりません。弁護士に相談することにより、より良い解決法に移行することができます
 

                      

        
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